自動車品質規格への対応(IATF16949)
What is IATF16949?
IATF16949とは?
IATF16949とは、IATF(International Automotive Task Force, 国際自動車産業特別委員会)が制定した自動車業界の国際的な品質マネジメント規格である。国内のみならず、欧米など海外の自動車メーカーと取引する場合には、この規格に準拠したマネジメントシステムやプロセスを構築することが必須である。
IATF16949の変更管理に関する要求
IATF16949がリリースされたのは2016年であるが、この前年にメガリコールと呼ばれる大規模リコールが発生したことを記憶されている方も多いと思う。このメガリコールへの対策として、多くの自動車業界各社がトレーサビリティ強化やIATF16949規格への対応を取り組み始めた。 トレーサビリティ強化に関係するプロセスとして、変更管理があげられる。IATF16949の変更管理に関する要求を以下に示した。着目すべき点は、設計変更だけでなく、社内の製造プロセスの変更や、サプライヤが実施する変更も管理すべき点である。
ECOによる設計変更管理モデル
従来から設計変更については、ECO(Engineering Change Order, 設計変更指示)を用いて、PLMシステムの中でBOMや図面の変更を管理する方式が採用されてきた。この方式は、自動車業界だけでなく、産業機械や電機メーカーでも導入されている。 下図はその具体的なE-BOMの変更イメージである。左が変更前のE-BOM、右が変更後のE-BOMである。この設計変更の中で、部品のリビジョンアップやASSYの構成変更が行われている。そして、変更された品目に対してECO(この例ではECO1)が関連付けされている。
設計変更管理を行うことで、いつ、どのような理由で、どの品目が変更されたのかを把握することができる。そして、それらの情報をもとに、不具合発生の原因を素早く特定し、問題解決を早期化するのだ。
MCOによる製造変更管理モデル
さらにIATFの変更管理要求への対応策として、製造変更管理をPLMシステム上で実装する企業が増加中だ。下図は、MCO(Manufacturing Change Order, 製造変更指示)を用いた製造変更管理モデルの例である。この例では、製造工程とそこで利用する設備をBOP(Bill Of Process, 工程表)としてPLMで管理している。下図では、2つの工程の設備が変更され、変更された工程にMCO(この例ではMCO1)が関連付けられた状況を示す。 この方式により、設計変更では現れない製造工程の変更のタイミングや理由、変化点を管理し、トレーサビリティ強化につなげることができるのである。
次のコラムでは、ドイツ自動車工業会が制定した品質規格であるVDA規格への対応例をご紹介する。