医療機器開発コンプライアンスへの対応
本コラムでは、医療機器開発のコンプライアンスについて、規格の詳細には触れないが、PLM導入担当者として知っておくべきCSVとER/ESに関する基本情報をご紹介する。
CSVとは
CSVとはComputerized System Validationの略で、コンピュータ化システムバリデーションと訳される。医薬品や医療機器の開発・生産で利用されるコンピュータのシステム開発プロセスの妥当性や検証結果を文書化することを規定したものである。 CSVについて、日本では厚労省から「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」が発行されているが、グローバル標準のCSVガイドラインとして「GAMP5」が認知されている。GAMPとは、Good Automated Manufacturing Practiceの略であり、5はバージョンを示す。下図は、GAMP5のリスクベースアプローチの概念図で、リスクに応じてその詳細度を決定することを示している。 医療機器開発で利用するPLMにおいても、CSVは必須の事項である。したがって、PLMのシステム開発計画では、通常のシステム開発プロセス以外に、CSVが要求するやタスクやアウトプットを作成するためのリソースを事前に盛り込んでおく必要がある。
ER/ESとは?
ER/ESとは、Electronic Record/Electronic Signatureの略で、電子記録/電子署名と訳される。この具体的な規制としてFDAのPart11が有名であるが、日本では厚労省から日本版のER/ES指針が発行されている。 日本版ER/ES指針では下図のように、CSVが実施されていることを前提として、真正性、見読性、保存性、タイム・スタンプ、電子署名などの要件が示されている。PLMシステムの適用においては、アクセス権管理、操作ログの取得、頑強なバックアップ、ユーザ・パスワード管理、更新記録、ユーザIDの不正利用がないこと、教育訓練などが必要とされることを留意すべきだ。