PLMを用いたコンカレントエンジニアリングのポイント
コンカレントエンジニアリングとは?
コンカレントエンジニアリングは、開発リードタイムの短縮や、設計と生産準備プロセスの並行化による問題発見の早期化、を目的とした製品開発手法だ。上図は、設計完了後(出図後)、生産準備を開始するシリアル開発を示す。確定情報に基づき生産準備を実施することが特長だが、生産準備工程(例えば金型設計)で設計の不備が発見されると、計画外の手戻り(設計変更)が発生する。また、シリアルなので、開発リードタイムが長くなる傾向がある。
下図のコンカレント開発(コンカレントエンジニアリング)は、この問題を改良したもので、設計と生産準備をオーバーラップし、出図する前に生産準備工程で設計検証を行い、製造性などの問題を解決した後で出図する。また、オーバーラップにより、開発リードタイムの短縮にも寄与する。
PLMによるコンカレントエンジニアリング実践のポイント
コンカレントエンジニアリングはいいことばかりのようだが、設計と生産準備のコミュニケーションが不十分だと想定外の問題を発生する。
例えば、設計が作成したある時点の3Dモデルを参照して、金型設計を開始したとする。
設計がそのあと、大きく形状変更すると、そこまで実施した金型設計が無駄になる可能性がある。
したがって、3Dモデルだけでなく、設計完成度も含めて共有することが重要なのである。
PLMでは、設計完成度を“ステータス”という属性で管理する。
以下の図は3Dモデルのステータスの遷移によるアクセスコントロールを示す。
3DCADの中では設計者個人だが、PLMに登録すると設計チーム内で共有できる(ステータスは仕掛)。
3Dモデルを公開すると生産準備を担当する部門が参照できる(ステータスは公開)。
この状態で、設計と生産準備のコンカレントエンジニアリングを行う。
ちなみに、承認すると全社から参照可能となる(ステータスは正式)。
PLMで意思を入れてステータスを更新することで、出図前情報に対する業務の整流化を図ることができるのである。