PLM/BOMによるトレーサビリティ強化対策

背景

自動車業界ではトレーサビリティ強化の必要性が高まっている。きっかけは、2014年以降のリコール1件あたりの対象台数の急増だ(国土交通省発表の国内自動車の統計データによる)。この原因は、自動車メーカが部品の共通化を進めることで、共通部品や共通モジュールに不具合があると、多数の車種に不具合を発生だとされる。さらに、自動車部品メーカも、複数の自動車メーカを横断した部品の共通化を推進したことも拍車をかけたとされる。(図参照) このことを背景として、2015年にリコールに対する報告義務の法令が改正された。それ以前は、リコールに対する報告義務は完成車メーカだけだったが、改正後は部品メーカにも報告義務が課せられた。

What is traceability?

トレーサビリティとは?

トレーサビリティとは、不具合が発生した部品、調達先、工程、ロットを追跡し、特定するための仕組みことだ。これは、自社にとって、原因を特定し損害を最小化することと、社会的信用の維持をねらいとしている。対外的には、原因の迅速な特定により社会的な被害を最小化することがあげられる。

トレーサビリティ強化の対策:

強化の対策は、マスター系で2つ、トランザクション系で1つ考えられる。

1.部品番号への派生桁の追加(マスター系)

図面番号=部品番号とする企業が多かったが、1つの図面に対して、部品番号に対して、サプライヤや生産拠点の違いを示す派生桁を追加する方式である。

2.BOMの履歴管理の強化(マスター系)

過去のBOMのリビジョンから部品のリビジョンが特定できなかった企業が多かったが、BOMのリビジョンから全構成部品のリビジョンを特定できるようにする方式である。

3.ロットトレースの強化(トランザクション系)

部品を実装、組み立てる工程で、部品のバーコード(部品番号、サプライヤ、部品のロット番号などが記録されている)をハンディスキャナなどで読み取り、製造ロットに対して、組付けた部品のロット情報を逐次記録する方式である。

2つのマスター系については、PLMの再構築で実装することで対策が可能である。ちなみに、トランザクション系はMESで対策する。

本コラムに関連するサービス:

・PLMクイックアセスメント

・PLM構想企画サービス